モフモフになれたら

本と映画と仕事と考えたこと

HARD THINGS / ベン・ホロウィッツ

実はこの本、昨年、先輩から借りてざーっと読んだことがありました。

 

 

HARD THINGS

HARD THINGS

 

 

でも、その当時はあまりに自分の境遇とかけ離れており、『何の参考にもならんわ』と感じ、読書メモを書く気さえ起きなかった本です。スタートアップ経営者が直面した難題なんか、言われたことだけ淡々と効率よくこなしていくだけの若手サラリーマンには何も関連性もなかったのです。

 

 

 

あれから一年経ちました。

 

 

いま、新規事業立ち上げに奔走している日々の中、何でこんなことになるんだ、という事態に常にさらされています。一緒に始めたパートナーから訴えると脅される、法務部から1ミリのリスクも取るなと念押しされる、売り先からこんなサービス絶対に認めないと反対される、買先からはそんなサービス絶対に続けられないと断られる、などなど。波乱万丈の毎日です。

 

 

こんな事態の中で、『上司を説得出来る資料の作り方』とか『論理思考のすすめ』とか、そんな小手先の本を読んでも何も響かない。もっと包括的な、この事態全てに立ち向かえるような何かが欲しい。何が起こるから分からない状況の中で、もうダメだと思ったときにどうしたら良いかが知りたい。

 

 

でも、ビジネスの中でこれをやったら絶対大丈夫なんていう万能薬は存在しません。当たり前ですが。なのでこの本はあなたが苦闘している無理難題に対する処方箋にはならないと思います。でも、苦闘しているあなたにぜひ読んでほしい。

 

この本を読むと、みんな大変な事態を乗り越えてきたんだということだけは分かります。私が一番欲しかったのは、無理難題の解決策ではなく、無理難題に立ち向かっていける勇気だったのです。

 

 

人生は苦闘である。カールマルクスの言葉。

 

 

世界史を塗り替えるほどの影響力を持った天才マルクスがそういうんだから、それはそうなんでしょう。人生は苦闘です。新ビジネスの創出は苦闘です。一歩歩けば四方向から矢が飛んできます。それをいなして、次の一歩。また矢が飛んできては、打ち返す。全ての矢から逃げることは出来ません。もう全身血だらけです。満身創痍。気力も朽ち果てた。なんでこんなことやってんだ。誰が望んだんだ?自問自答するけども、残念ながら...答えは『他ならぬ私』なのです。私はこれをやりたいのです。血だらけだけど、やりたいのです。なぜかはわからないけれどやりたいのです。

 

なぜかわからないけど自分から苦闘の只中でもがいている、ということは、もうその苦闘を愛し始めているのかもしれませんね。

 

苦闘しているのは一人じゃないと思うと、楽になる、嬉しくなる、ということは、人間て、みんなで苦闘することが好きなのかな。

 

誰も助けてくれない。誰にも理解されない。自分だけの問題で苦闘している人々に捧げる。ビジネスの新しい聖典です。