AIの衝撃 人工知能は人類の敵か
『ホモ・デウス』の衝撃を受けてから、最近人工知能に興味津々です。今の延長線上の世の中を想像するに、人工知能が全てを支配する世の中になっていくとしか思えなかったので。その理由は前回の投稿の通り。
mofumofuninaretara.hatenablog.com
というわけで人工知能に関する本。
今回は呼んだのではなく、Amazonの新サービスAudibleで聴いた本です。やってみるとなかなか面白い。生活の中で本を読めない状況と言うのは結構あるもんです。超満員電車の中、夜中の犬の散歩中、車の運転中、お皿洗いをしている時等。そんな時間でも本を読めるということなので本好きの隙間時間にはもってこいのサービスかもしれません。
ラジオ、テレビ、動画配信サービスなんかもたくさんありますが、やはり本のクオリティというのはそれらとは一線を画します。NHKでもここまで濃密なAI特番は作れません。だって7時間もあるんだから!!
時間の有効活用という意味では大変すばらしいサービスだったのですが、いくつか難点がありました。
「ん?この話、さっきのあれと関連している気がする」と直感が働いても、その「さっきのあれ」までさかのぼるのがめちゃくちゃ大変です。本は新書一冊で7時間くらいあるので、どこの部分だったのか事後的に探すのにかなり時間がかかります。本であればパラパラめくっていけば、話の展開で、その前なのか後なのか一目で判断できるのですが。
さらに、読み飛ばしても良いところの判断が難しい。本を読んでいると半分以上超える頃、前提をもう一度確認したり、わざと繰り返し説明したりする箇所が出てくるものですが、Audibleだと、そういうところを飛ばせません。本であれば、目を横にずらすだけで次の話に移れるのですが、Audibleだとどこまで飛ばして良いのかが瞬間的に判断できないのです。なのでダラダラ長時間視聴するしかないのです。
まぁでも、新サービスとしては面白くて、最初の一冊目は無料で手に入るので、ぜひ体験してみてください。
参考になる箇所が何個かあったので、結局視聴後、本を購入してしまいましたが・・・。
著書、小林先生も人工知能が人間の能力をはるかに超えていくという見解を持っている方です。ロボットによって人間社会が乗っ取られるというSFチックな危機感ではなくて、人工知能が「現在人間が至高であると感じているテーマ」に入っていくことでその至高性が失われること、に強い危機感を持っておられるようです。これはホモデウスを読んで私が感じた「人は死んだ」という未来予想と重なるものです。
例えば将棋。人工知能が人間をはるかに凌駕する棋力を手に入れると、人間は「所詮将棋なんてくだらないゲームだから」と価値を低く見るようになるのではないでしょうか。どんなにやっても人工知能に勝てないゲームを人間たちはさらに追及しようと思うでしょうか。どんなに考えて、斬新な手だと思いついても全て人工知能に予見された手でしかないとしたら・・・。もうそんなくだらないゲームやめたら?とならないでしょうか。
さらに人間が感動する音楽を人工知能が作り出すとしましょう。あまりに感動的な音楽にある人が涙を流したとする。「実はあなたが感動するように人工知能が曲を書いて、あなたが感動するタイミングで人工知能が抑揚をつけて演奏しました」と言われて素直に感動できるでしょうか。人間の感情をもてあそびやがって、と激怒する人も出てくるのではないでしょうか。すると「所詮、音楽なんて娯楽だから」と言ってその価値を捨てさる人が出てくるかもしれません。
最後は人間そのものです。人間が存在の頼みとしているあらゆる創造性を凌駕されたその時。「所詮、人間なんてもともとただのアルゴリズムなんだよ」と人間が人間の価値を捨てる日がくるかもしれません。それが人間至上主義の破綻です。
Googleが日本の産業を牛耳る、とか。Pepperがあなたの家に入り込んで生活を改善していくかもしれない、という様なちょっとした未来予想も面白いですが、やはりその先は人間至上主義の破綻であることは様々な研究者の頭の中によぎっていることなのかもしれません。
いま、あらゆる場面で人工知能、AIが活躍しています。既に今の段階で人工知能なしの世界など考えられません(計算機だって一種の人工知能です)。ということは既に我々は人間至上主義の破綻に一歩一歩近づいているのかもしれません。
暫く人工知能の勉強を続けます。