Too Many People ASKA
世の中の風評なんて吹き飛ぶくらい圧倒的な完成度のアルバムです。量、質、バラエティともにASKA史上最高の傑作と言って良いかもしれません。amazonのレビューが自作自演なんてとんでもない。誰が聴いてもASKAの音楽に心震えること間違い無し。
FUKUOKA
アルバム発売に、先行してYouTubeに挙げられて大変話題になりました。この曲のおかげで、世の中のASKAを見る目が変わった気さえします。「やはり天才はいつまでも天才なのだ」と。
イントロからAメロのつまさきにはいるところ、この部分がたまらない。さらに言葉の宝庫。
今は昔、昔は今 誰でもない自分さ
生きるように生きて来た めくれば文字が表れるように
人生は前後左右いつも未解決
また、忘れられない言葉が増えました。
Be free
一発で分かりました。この出だしは絶対ドミナントコードだと。C調でいうとG。いきなりこのコードからメロディが始まる曲を他に知ってますか?私は知ってます。そう。「BIG TREE」です。ドミナントというのはトニックという解決に向けて進みます。トニックという安定を求めて動き続ける不安定なコード、それがドミナントコードなのです。「BIGTREE」ではドミナントという不安定なコード進行の中にはっきりしたメロディを埋め込むことで、その安定性を、BIGTREEの比喩として際立たせることに見事に成功しました。
「Be free」は不安定なAメロから躍動するサビを融通無碍に行き来することで、まさに自由であることを体現してみせた。神業だと思う。
僕はいつも躓いてばかりいるくせに
輝きばかりを求めて歩いてるくせに
刺さります。
リハーサル
「kicks」を彷彿とさせるロックチューン。いわゆるひとりCHAGE&ASKAです。ラストのシャウトは圧巻です。
東京
このタイミングで出すアルバムにこんなに明るく陽気な曲が入っているとは予想だにしていませんでした。でもよくよく聴いてみると明るいばかりの曲ではありません。
いくつかの恋 儚く失った恋
君が元気でいてくれたならば
いいね いいね
悲しい前向きさから明る過ぎるサビへ。陽気さが突き抜けているメロディが、明るさを通り越して可憐です。なんだか涙が出て来ました。理由がわからないけど、この曲を聴くと涙が止まらない。
あなたの歌を聴いている人はここにいます。今日も東京の電車で聴いています。
X1
バツイチではなく、クロスワンと呼ぶ。「我慢して、我慢して今日を生きてる」って私のことだな。
それでいいんだ今は
オアシスを彷彿とさせるベース音とストリングスの広がりからキャッチ―なAメロ。サビはさらっと転調してますね。これは以前触れた宇多田ヒカルの「Eternally」と同じ形の転調です。いわゆる異次元の転調です。バラードでは壮大な感じがでますが、ポップ調だとより軽やかに聞こえますね。
Too many people
アルバムのタイトルになっているので、ASKAにとって重要な意味を持った曲なのだと思います。この重苦しい雰囲気は、少し「Never end」の曲調に似ている気がする。
共感できる人がいるか分からないけど、間奏の部分聴いてみてください。尾崎豊の「誕生」のラストに似ている気がする。あれも人生の岐路にたった天才の苦悩を歌った歌だけど、苦しい時に自分を支えてくれるメロディというのは普遍性があるのかもしれませんね。
と、いう話さ
タイトルは難解ですが、この曲はめちゃくちゃカッコいい。「Now」、「花は咲いたか」、クラスの痺れるASKAロックです。Aメロの繋ぎのない言葉選びには脱帽。「ひとはひとがすきひとはひとがきらいなみだはあいがすき」って…。
サビも素晴らしいですね。「Hang up the phone」のようにハデさはないけど、唯一無二のメロディラインです。
間奏のギターリフも鳥肌が立つ!!
元気か自分
音が上がるわけでもない、リズムが変わる訳でもない。でもなぜ人はサビをサビと分かるのだろう。この曲のサビ。明らかにサビなんですよ。でも不思議なサビなんですよ。盛り上がるわけでもないんですよ、でもめちゃくちゃ耳に残る。
通り雨
ここで初めてASKAソロの真骨頂であるバラードです。SCENEにありそうな、ゆったりとして可愛らしい曲です。こういう曲をのんびりした休日に町並みを歩きながら聴くと最高ですね。
信じることが楽さ
ちょっと歌謡曲っぽくて懐かしい響きを持つ曲です。
疑うことは寂しいことなんだ、人を信じることが楽さ
この言葉が聞ければ、本の解釈とかどうでも良いんです。
未来の勲章
複雑なコードで自由に曲作りをするいつものASKAからすると、とてもシンプルな曲。「クールでシュールでキュートな」っていうフレーズ、良いですね。
しゃぼん
音楽と言うか「歌」の力って凄まじいなと思う。この音楽はどんなに楽器が上手くても、どんなに音程が合っていても絶対に表現出来ない。「僕の上に天使はいるかい」という幼子のような叫び。「今幸せですか」と問う時の声のかすれ。「それでもそれでもああそれでも」が聴く者の心をかき乱す意味。
この寂しさはどこから来るんだろう
それでも それでも ああそれでも
それでも、生きねばならないのですか。
それでも、そばにいてくれますか。
それでも、歌い続けて良いですか。
そんな風に私には聴こえました。
「しゃぼん」を聴き終えると無性に「FUKUOKA」が聴きたくなります。「しゃぼん」を聞いた後の「FUKUOKA」には寂しさの中に少しの勇気を見いだせるような気がしました。