モフモフになれたら

本と映画と仕事と考えたこと

核の抑止力という嘘

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20130425-00000054-jnn-int

日本が核不使用をうたった声明に賛同しなかったそうです。 アメリカの核の傘の下に守られているのに、賛同するのは矛盾だから、だそうです。確かに、論理的には整合性は取れていますが、本当の問題は、”核の傘に守られている”という前提がそもそも幻想である点なのです。

ここからの話は、私の大学時代の先生の知見です。大学一年生の時に受けた講義で、ものすごく納得してしまったので、ここに記します。

なぜ核を持つ必要があるのか。それは核の抑止力のため、と考えられています。つまり地球を破壊し尽くすほどの兵器を持っている国を誰も攻撃できまい、と考えられているのです。 もし核兵器を持っている国が一つしかなかったら、その国が好き放題、地球を食い散らかすかもしれません。だから、一国が持てば、その国に好き勝手させないために、次々と核保有国が現れます。そうすると、誰も攻撃できない均衡状態が生まれる。これが冷戦時代から続いている現在の地球の力学です。核を保有しているアメリカを攻撃できる国がいないのと同じ様に、アメリカは核を保有するロシアを攻撃できません。今まで核戦争から逃れられているのは、こういった核の抑止力が働いているから、というのが核の抑止力のお話。石原慎太郎とかは、この均衡状態に割って入るために日本も核武装すべきと言っています。核の抑止力信者は反対派に必ずこう言います。「核は実際には使わない。ただ国際社会の中で存在感、発言権を増すためには必要なのだ」と。

でも、ちょっと待ってほしい。なぜ核を保有している国は攻撃されないのか、存在感と発言権が増すのか・・・。それは核で報復してくるかもしれないから、です。絶対に核を使わないと分かっていたら抑止力になりません。”核を使う”ことは”おどしではない”から抑止力になるのです。凶悪犯が銃を突きつけて金を出せ、という”おどし”が有効なのは、銃を撃つ事が”おどしではない”からです。つまり”おどし”は”おどしではない”から”おどし”になるのです。だから、核を使うぞという”おどし”は、その効用の帰結として”おどしではない”=”本当に使用する可能性がある”のです。

地球を破滅させる兵器を使用する前提で持つことに賛成できる人の気が知れません。あなたも死ぬし、あなたが築き上げたものも、あなたの大切な人達もみんな消えちゃう。抑止力の力を信じるということはいつか破滅する未来を信じるということです。

今回の日本政府の対応には心底失望しました。