モフモフになれたら

本と映画と仕事と考えたこと

理想の先輩になる方法

前にも書いたような気がするけど、書いていない様な気もするので、また書きます。ブログを5年もやっていると似たようなことを感じる機会に複数回出逢うものです。

ある出来事in前の会社

以前働いていた会社での出来事。突然自分たちの部署に社長が見学に来ることになり、部内はそのための準備で盆と正月が一緒に来た様な大騒ぎになりました。良く考えてみると今どきの盆って別にゆっくりするだけですね、むしろ盆と正月が一緒に来た方が帰省も一回で済むから楽じゃね?でも俺帰省しなくね?なんて考えながら、部長は社長との対話のために予想Q&A集を作り、部員はテーブルにあるパソコン以外のものを全て処分し、部屋の隅々まで掃除機をかけ、窓ガラスを磨き、身だしなみを整え、髪をセットしました。私の髪の毛は寝癖で下半分くらいから重力に抵抗し始め、軌跡のV字カーブを描いていました。FF8のセルフィのように可愛らしい見栄えだったに違いない。

社長が来訪するや否や、いつも踏ん反り返っている部長は顔を真っ赤にしながら、必死に説明を始めました。社長の言葉ひとつひとつに感心したふりをし、靴を舐め始めるのかと思うくらい頭を下げ、西田敏行のような人懐っこい笑みを浮かべていました。餌をあげる飼い主とブルドックに見えました。もしくは肛門科医といぼ痔患者くらいの厳然たる上下関係がそこにはありました。

その時は部長の犬化、またはいぼ痔化によって何の問題も起こらず一件落着で終わりました。が、問題はその後の話。

翌月のこと、社長に続いて、相談役を退いた歴代の社長・役員方々も訪問に来られることになりました。恐らく齢70は超えた方々です。その訪問が決まった時、部長は言いました「おまえ、相手しといて」と。

なんとまぁ!
現社長がいらっしゃるときはあんなに顔を真っ赤にして全てのプライドをかなぐり捨てて、靴をぺろぺろしていたのに。一旦職務を退いた人たちは全く眼中にないのね。

現社長と旧社長の違いは学識でも経営手腕でも文化資本でも人間的魅力でもありません。ましてや有名人だからでも女子大生だからでもない。そう、権力です。部長の生殺与奪権、人事評価権を持っているか否かです。ここで言う生殺与奪権は会社においての、という意味です。


部長の振る舞いを糾弾するつもりも軽蔑するつもりもありません。彼はただ自分の便益を最大化しようと努めただけです。
近代以降、社会科学が想定していた合理的経済人モデル。靴を舐めることの苦しみが自分の出世による喜びに勝ると考えるかどうかはそれぞれの価値観ですが・・・。

この時思いました。「会社を離れても敬意を払って接したいと思える先輩、または敬意を払ってもらえる後輩は自分にどれだけいるだろうか」と。生殺与奪権・人事評価権を持っていなくても、人間対人間で付き合ってくれる人がどれだけいるんだろう、と。

結果的にその会社は辞めました。その後、プライベートで全く損得なしに会いたいから会うという先輩も数人います。私は彼らの権力や財貨でなく、人間的魅力・バイタリティに魅かれ慕っています。仕事が出来るかというよりも「一緒にいて楽しいか」というのが基準になっている気がします。

しかし誠に残念なことにプライベートで会ってくれる後輩はいないのです。社会人5年目で実際に仕事をした後輩は2~3人しかいないというのもある。後輩の女の子から転職の相談を受けた時に奥さんにLINEを見られてブロック&連絡先消去された、というのもある。でも事実として付き合いはない。ないものはない。これは非常によろしくない。このままでは退職後、職場見学に行っても邪険に扱われることうけあいだ。靴をぺろぺろ舐めるしかない。

では、後輩とどういう風に接して行けば良いのか。

私自身、新入社員の時から、もっと言うと学生の時から、先輩との飲み会は非常に煩わしいものと考えていました。どうでもいいことを説教され、クソ面白くない話に愛想笑いを浮かべなくてはならず、大嫌いなお酒を飲まされ、相手の飲み物には常に気を配り、おまけに割り勘で5000円徴収される。5,000円をご飯だけに使えば帝国ホテルでランチコース食べれるし、この3時間を読書にあてた方がよっぽど仕事の為にもなる、人生は好きなことをするためにあるんじゃないのか、と思ってしまう。

でもこの考え方が呪いになって、30歳になろうとしている私の身動きを縛る。つまり、私がこんな考えを持っているので、きっと後輩も同じなんだろうなと想像してしまう。

「今度飲みに行こう」と誘えば、後輩たちはにこやかに「はい」と答えてくれるけれども、「美味しい店でタダなら行ってやるよ、ただし面白い話をしないと、内臓えぐりとるぞ、このトンチキが」と顔に書いてある気がしてしまうのです。だから気軽には誘えない、内臓大事。

ここで取れる戦略は一つ。とにかく後輩から誘われたら行くというスタンスを貫くしかないような気がするのです。こちらから誘ったら向こうは嫌でも来ないといけないんだから、申し訳ない。その場は自分だけ楽しくても、それが人間対人間のコミュニケーションなのかもよく分からない。よっぽど好きじゃないと後輩から先輩は誘わないだろうから、誘われたら喜んで行く先輩になるしかない。私も自分から先輩を誘う。そして奢ってもらってる。

でも実際には、全然後輩と全然食事に行けてない。部署が小さくて後輩は2人しかいないというのもある。奥さんからの縛りがきつくて、第一第三木曜日にしか外食出来ないというのもある。でも事実として行けていない。これはマズイ。このままでは泣きながら後輩にイボ痔を見てもらう未来が待っている。

理想の先輩になるには

たぶん、自分が一番好きな理想の先輩像を目標にしていくしかない。そうすれば自然に人間対人間のコミュニケーションが出来上がるはず。

私の理想の先輩のことを思い出すと
1、美味しい店をいっぱい知ってて、話が面白くて、一緒にいて楽しくて、オシャレで、金払いが良くて、めっちゃ不倫してる
2、元カノがアナウンサーと宝塚で、モデル出身で、奥さんがすごく綺麗だけど、めっちゃ不倫してる
3、大学時代起業でぼろ儲けして、流行に敏感で、デカい家に住んでて、子供可愛いし、めっちゃ不倫してる
4、家庭円満なのに、前までたま~に不倫していて、今ではめっちゃ不倫してる
の4人が思い浮かびます。

なるほど、これで私の目指すところがはっきりしてきました。
彼らに共通するところは、そう。肛門科医ということですね、ご静聴ありがとうございました。