モフモフになれたら

本と映画と仕事と考えたこと

ビジネスパーソン必読書! プロジェクトマネジメント 山口周

仕事であるプロジェクトを任されたので、この本を手に取りました。いや、任されたというよりも、「これをやりたい!」と自分で働きかけたら、部長、役員、専務にまで話が上がり、じゃあやってみろ、となったのでプロジェクトマネージャにならざるを得なくなった、という感じです。これも筋トレとゼロ秒思考の成果です。



外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント

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実際、自分がプロジェクトを動かすとなると考えなきゃいけないことが山ほどあって、それを整理することから始めねばなりません。「言われたことを効率良くミスなくこなす能力」と「ゼロから何をやるか考え、ゴールまで導く能力」というのはまるで別次元のものだと痛感します。


社会人2〜3年目になると前者の能力が磨かれてきて、だんだん自分に自信がついたり、生意気になったりするものです。でも、そのまま過ごしていると後者の能力って絶対に身につかないんですよね。だって「何をしたら良いか」なんて誰もわからないんだから。


この本の冒頭でも紹介されていますが、前者の「手続き処理型の仕事」は今後どんどん淘汰されていきます。だって「何をどうやるか」が明確なら、それをやる主体はロボットでも人工知能でも良いもん。WhatとHowをインプットすれば結果が返される。それだけの人ならプログラムと同じだ。いや、間違えないんだからプログラムの方が良い。だからこれからは「プロジェクトマネジメント型」、つまり「何をしたら良いかを考える能力」を鍛えるしかないと私は思う。


さて、本書ですが、プロジェクトマネージャーの心得だけでなく、具体的にどんなことをすべきか丁寧に教えてくれる良本です。リベラルアーツの文献から言葉が引用されていたりして、著者の深い知性も感じられます。中でも特筆すべき金言を紹介します。

必ずしも評判の良くないメンバーであっても、そのメンバーの「成長余力」を信じてあげることがとても重要です。

現代の社会は過度にスピードを重視するので、「呑み込みの早さ」を「優秀さ」「頭の良さ」とはき違える傾向が顕著ですが、筆者の経験に言わせれば、本当の意味で「頭の良い人」というのは、意外と呑み込みに時間がかかるものです。なぜ時間がかかるかというと、自分の頭の中にある事象と新たに学んだ事象との関係性をきっちり整理しないと「わかった」と思えないからです。

そして次に重要なのはチーム内で流通する「情報の量」です。チームの中で流通する情報の量が減ると、必ずと言っていいほど、プロジェクトは危険な状況に陥ります。

上位役職者の人たちとの「生意気なやりとり」は多くの場合、その人の高評価につながっている

メンバーというものは、リーダーが考える以上に自分の懸念や心配事をリーダーに相談することを忌避しようとする傾向を持っている

必要な時には、自らの考え方が誤っていたことを認め、変化を受け入れるのがひとかどの人物

プロジェクトの途上においても、一つ一つの仕事や作業が、そのプロジェクト全体の目的に対して、どのような意味合いを持っているのか、その作業がうまくいかないと何が問題になるのかを考えさせる、あるいは伝えるということが重要です。

具体的な行動についてのフィードバックができない、ということはつまり、「そもそも力量がない」か「力量があっても、それを人に伝えられるような形式知として言語化できない」かのどちらか、または両方ということになります。

結局のところ、上機嫌なリーダーが日生きるチームではメンバー相互間、あるいはメンバーとリーダーとの間での情報量が増加するのです。


目的を明確化し、メンバーと情報を共有し、メンバーの成長を信じながらニコニコしているのが理想のリーダーということですね。最後の上機嫌というのが一番重要かもしれません。上機嫌なら悩みも非常事態も相談しやすいし、一緒にいて楽しくてモチベーションも上がります。




ニコニコしながら「こういう目的があるから一緒にやりましょう!絶対面白くなる!」と言い続けるリーダー、そんな人になりたいですね。