モフモフになれたら

本と映画と仕事と考えたこと

リーンスタートアップ

リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす/日経BP社 ¥1,890 Amazon.co.jp 発売された当初は結構話題になったらしいです。 本書は「スタートアップ」の方法について書かれた本ですが、起業だけがスタートアップではなく、新製品の開発や社内プロジェクトのスタートにも適した方法論が説かれています。 今、友人に貸しており手元にないので詳細までは説明できないのですが、結構面白いことがかいてありました。全部で400ページくらいあって、行間もすくなく文字でぎっしりです。邦訳特有の修飾語がどこをさしているのかっていうまどろっこしさはないのですが、話がくどいです。同じような事例が延々と出てくるし、あまり体系だってない。だらだらと思いついたことを付け足したら400ページになりましたっていう感じの本です。階層立てて説明してくれたらもっと分かりやすかったのに、おしい。あと、事例に出てくる会社やアプリがアメリカでは有名なのか知りませんが、私にはほとんど馴染みがなく、あまりピンと来ませんでした。あんなに有名になったあの会社も最初はこんな有様だったけど、あの革新的なUIを編み出したんだ、とか言われても知らないですからね。 400ページも読んでられネェよという人のために、エッセンスを抽出してみます。 ・MVP 必要最小限の機能を備えた製品のことです。どんなモノでもサービスでも突き詰めればきりがない。完璧に仕上がったものだけを世に出そうとすると、ものすごく金と時間がかかるし、それが失敗した時のダメージがでかい。だから、とりあえず最小限のものをささっとこしらえて世に放ってしまおう、そうすれば新しい物好きの一部の人が、それを評価してくれる。顧客からの視点で、改善を検討するのはゴールへの最短距離です。もし全く受けなかったとしても、元々そんなに労力をかけていないのだから、すぐに方向転換できる。リーンスタートとは無駄なものを排除した筋肉質なスタートアップをしようという発想です。 ・ピボット MVPを世にはなったら、次は分析。製品そのものが悪いのか、それとも狙っている市場が悪いのか、クリアな頭で分析しなければなりません。停滞が続くようなら、どこかの支点を変えてみる。それがピボットです。製品は同じだけども、売り方を変える、とか。狙っている市場は同じだけど、製品の仕様を変えてみるとか。いまある基軸を残しつつ、方針を変えていくことがピボットです。 他にも成長仮説とか価値仮説とか、なんちゃらエンジンとかあいまいな言葉が出てきますが、そこは重要ではありません。 ビジネスは科学と同じ。つまり仮説と検証ということです。仮説はピボット、検証はMVP。ピボットで方向を示して、MVPで反応を見てみる。その繰り返しです。日本のメーカーは検証をせず、仮説のみでスマート家電とかビッグパッドとか意味不明なものを作っちゃいました。それがこのざまです。ロットを小さくして、少ない労力で市場の反応を見る、その反応から学んでいき、自ら変化していくこと。これが起業にかかわらず、すべての会社経営に重要なことなんだと思います。 この本は起業を考えている人だけじゃなく、すべてのビジネスパーソンが読むべき本かもしれません。ただ、今のままだと無駄な箇所が多すぎるので、この本自体をもっとリーンにして再度ピボットすべきかと思います。