仮想通貨の真実を照らす良書『After Bitcoin』 中島真志
アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者
- 作者: 中島真志
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2017/10/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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仮想通貨のことが一冊で丸わかりの良本でした。「お金2.0」のポジティブな展望とはまるで違います。
結論を申しますと
「Bitcoinは今後縮小しかありえない。」とのことです。
理由は
・上位1%未満の人が9割を保有しており流通通貨としての役割を果たせていない
マイナー(採掘者)も寡占化し中国10社が7割を採掘している。
・2028年にはBitcoin上限の98%が発行済になるため、リワードを見越して採掘する業者が激減する。
マイナーがいなくなれば Bitcoinの承認作業がされなくなるため流通しなくなる。
・各国の中央銀行もブロックチェーンを用いたデジタル通貨の研究を急激に進めており
中央銀行が支えるデジタル通貨と問題だらけのBitcoinの競争が始まる、どちらが勝つかは明白。
私が以前書いた疑問にも答えてくれたのでスッキリしました。
これです。
nanikagaaru.hatenablog.com
p86 マイニング業者の収益はビットコインの価格水準にも依存しますが、仮に、ビットコインの価格が現状(円建てで48蔓延2017年8月半ば時点)のままの水準に止まるものとすると、リワードは、現在のマイニングの成功1回ごとに600万円という額から、2020年頃には300万円に、2024年には150万円、2028年には75万円、2032年には38万円へと減少していくことになります。1回600万円の報酬であれば、マイニング業者は大きな収益が見込めますが、1回38万円の報酬では、とてもコストに見合わないといった状況は当然、発生しうるのです。国際決済銀行の報告書でも「リワードが減少していく中で、スキームをっ冴えるマイニングのインセンティブが時奥するかどうかについては、議論の余地がある」としてマイニングの中長期的な持続性には疑問を呈しています。
やっぱりマイナーはいなくなります。今後、計算コストの増加と報酬コインの下落が続き、それらの曲線が交わる場所が損益分岐点となり、その時点でBitcoinをマイニングする人はいなくなる。それは絶対に間違いない。この当たり前のことに気づいていない人がBitcoinに投資している。
今大量にBitcoinを保有している人は何も知らない素人を引きつけて、高値で売り抜けようとしているとしか考えられません。
仮想通貨にまつわる議論は金融界の人とIT界の人で意見が真っ二つに割れています。両方の意見を聞くと、どうも中島真志さんをはじめとする金融界の意見に軍配が上がります。「新しいからダメ」「中央システムが存在しないからダメ」なのではなくて、「システムとして続く仕組みになっていないからダメ」なのです。通貨は「永続する」という信奉がないと成立しませんから。ブロックチェーンを維持するために限定した人だけに承認作業をしてもらい、インセンティブを固定で支払う(税金で)、という中央銀行のデジタル通貨システムの方が圧倒的に強固です。
絶対になくなりますよ。Bitcoinは。マジで。