モフモフになれたら

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What I am / 平原綾香

What I am

What I am

  • アーティスト: 平原綾香,アラン・ブーブリル,Ayaka Hirahara,Goro Matsui,ニコラス・ファーマカリディス,Miss-art,Akinori Dono,Jean-Marc Natel,アイカ,Takeru Tanabe,ハーバート・クレッツマー
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2013/12/04
  • メディア: CD
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平原綾香、レーベル移籍後のニューアルバム『What I am』です。『4つのL』を超える名盤です。はっきり言って、10年間の中で最高傑作だと私は思います。

平原綾香のイメージ通りのミディアムバラードを詰め込んで、すごくスタンダードなアルバムながら、全く飽きさせない。聴けば聴くほど、その表現力に圧倒させられるアルバムです。

このアルバムを聴いて、ファンクラブに入ることに決めました。もうCamp A-yaの一員です。

1.MADE OF STARS

Jupitarの系譜に属する壮大なバラードです。宇宙を感じさせる底深い歌声と近未来を感じさせる電子音。ふわふわとしたCメロからサビに持ち込む様は、まさに宇宙を遊泳しているようです。

2.Precious Love

これこそ平原綾香というミディアムバラード。このアルバムにはLoveや「あい」とつく歌が5曲もあります。中でもこの曲は切ないだけでなく、力強さが感じられる応援ソング的な要素もあります。

3.月に照らされて ~言葉よりも深く想ってる~

遠距離恋愛の二人を描いたラブソングです。言葉の選び方とメロディラインが絶妙にマッチしていて、たまらなく切なくなる奇跡の瞬間を生み出しています。"Lonely days Lonely nights"のところが大好きです。サビの最後の部分、気持ちが溢れて出て言葉を詰め込んでいくメロディはどこかミスチルっぽい感じがします。会えなくてつらい恋をしている人は必聴!

4.Shine-未来へかざす火のように-

副題が流行ってるのでしょうか。このアルバムでは唯一のラテン系が混じった激しめなサビ。優しいAメロからのBメロへの覚醒は、歌い手、平原綾香の真骨頂です。

5.あいのうた

そのまま、あいのうた。少し幼くて、懐かしい恋がテーマ。Bメロのサビに入る直前の追い込みが素晴らしい。サビのメロディも懐かしいけど独特で優しい気持ちになります。ラストは転調し、壮大なバラードに持ち込む技量には感服です。

6. You and I...

ここから少しテンポが変わり、ダンサブルな雰囲気になります。”愛しちゃえばいいのに”なんてチャラい歌詞を歌っちゃってます。少しいつもと違った平原綾香を聴けます。

7. Tweet your love

洋楽っぽい。ビヨンセとかが歌ってそうな、リズムとテンポ。かっこ良くて可愛い曲です。このメロディに”tw tw tweet”と乗せられるのは外国人の抜群のセンスですね。

8.Wedding Song

平原綾香本人作詞作曲によるWedding Songです。何かあったのかと勘ぐりたくなります。しかもスタンダードな結婚ソングでなくて、曲はノリノリ、歌詞は奇抜!特定の友人に向けて作った曲なんでしょうか。可愛くて良い歌で、個人的にはすごく好きなんですが、結婚式のスタンダードにはなりそうにないです。

9.Piece of Love

作詞界の巨匠 松井五郎氏の作品です。前向きで、晴れやかなラブソング。こういう歌は平原綾香が歌ってNHKの特番の主題歌にするのが一番良い。

10.I Dreamed a Dream

レ・ミゼラブルの曲。一発録りらしいです。すごく丁寧に歌っているので、いろんな発声方法で歌ってることが良くわかります。喉の開き方、息の速度、が変わっていくことで、聴き手の目の前に広がる情景も一緒に変わっていく感動を味わえます。っていうか、本当に歌うまい。ひたすらうまい。

11.それでもあなたを愛してた

意味深なラブソングです。平原綾香作詞です。なぜ不倫の歌詞を書くにいったのでしょうか。歌詞の悲壮感が半端じゃないですが、綺麗なメロディ、壮大な伴奏、圧倒的な歌唱力で、理屈抜きに感動出来る仕上がりになってます。音楽の力ってすげえな。

12.翼

シングルにもなったこの曲。良い歌詞だなと思ってたら、やっぱり松井五郎氏でした。”なにも答えなどないかもしれないそれもほんとうで”という歌詞の付け方はまさに熟年のプロの味です。迷っている自分の背中を押してくれる、平原綾香の応援ソングの代表になる一曲です。

13.What I am

かなりボリュームのあるアルバムで、こんなに素敵なバラードが満載で、『翼』に勇気を貰った。もうこれで終わりで良いじゃないかと普通は思います。次の曲が、今までの曲を超えられる訳がないと。そこがこのアルバムの凄いところです。ラストはアルバムタイトル曲の『What I am』。この曲が神がかかっている、というよりは、”鬼”を感じる。

沈み込む様に始まるAメロ。もがき苦しむようなBメロ。床を這いずり回るように声を絞り出すサビ。こんな平原綾香、いままでいただろうか、いや私は知らない。2番。悲鳴にかわるAメロ。心から悲劇を叫ぶBメロ。自分に呆れ返りながら叫ぶサビ。何だこの曲は。最後の望みに手を伸ばすCメロ。力なくささやくサビ。最後の最後は、魂の奥から絞り出す。始めて聴いていた時、車の中で、自分でも気づかぬうちに、涙が出ていて驚いた。

平原綾香の歌は未来志向の歌詞が多い。理想の自分に頑張って近づこう、いつかきっと、自分を信じたら、夢は叶う、そういう単純でストレートなメッセージを込めた歌が今まで多かったと思う。

でも、今回の平原綾香は違った。そんな自分さえ信じられない状況を初めて歌った。過去を懐かしむ訳でもなく、未来を羨望する訳でもない。ただここにいる私がなにものなのか、なにものでもないのか、それを初めて歌にした。孤独の中でも光る人でありたいと願うのも私。一番大切なものを壊して泣いていたのも私。そんな過去今未来の私を同時間上の動態として見事に表現した。このアクロバティックな表現は、歌詞だけでも歌だけでも不可能だったでしょう。歌詞、メロディ、歌唱力、全てが完璧に調和した瞬間に生まれました。もはや、鬼と表現したのは、そういう訳です。

最近、あまりに平原綾香にハマってしまったため、文章に熱が入り過ぎました。でも熱意を持って聴ける音楽は素晴らしい。ファンクラブのコンサート先行受付がもうすぐ始まるので、速攻で応募します!