私の嫌いな『「好き嫌い」と経営』/楠木建
楠木先生の本三冊目です。
経営判断や競争戦略には正解がなく、好き嫌いでしか判断できないという場面に遭遇します。スターバックスの創業者が全店舗全席禁煙にしたのも、「喫煙者も楽しめるカフェ」が嫌いで「タバコの匂いがない、コーヒーの香りを楽しめるカフェ」が好きだったからでしょう。
結局、優秀な経営者の「好き嫌い」にビジネスの肝が隠れているのではないか、という切り口で楠木先生がインタビューしている対談集です。
- 作者: 楠木建
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2014/06/27
- メディア: 単行本
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永守重信、藤田晋、柳井正、原田泳幸、松井大、大前研一など、誰でも名前の知っている名だたる経営者との対談集、と思いきや、これは対談でも対話でもありませんでした。インタビュー集です。
対談なら大きなテーマを決めて、そこから話が盛り上がる方向に好き勝手進むものですが、この本の場合「好き嫌い」というテーマがかっちりしすぎていて、話が軌道修正されすぎるキライがあります。つまり、流れにさからって「ところでこれが好きらしいですね」と楠木先生がいちいち軌道修正するので、話が盛り上がりません。全然盛り上がりません。下手くそか。
しかも「好き嫌い」の話であって、「経営」の話ではないのが致命的です。本当に好き嫌いだけの話なのです。ゴルフが好きとか、ナンバーワンが好きとか、経営者の個人的な趣味嗜好に偏りすぎていて、ビジネス書的な「活かせる情報」が皆無です。
この対談に出ている経営者の個人的なファンじゃないと読んでも意味ないです。全然面白くないので。好き嫌いでいうと私は嫌いです、この本。
大前研一が「経営戦略にストーリーなんてない」と考えているところだけは、気まずい空気が伝わってきて、少しクスリとしました。
これだけの名経営者たちにインタビューできるんだから、楠木先生はやはり偉大なんだろうか。でも今の所、「好きなようにしてください」以来、良い本がないなぁ。
次の本も買ってしまったけど、しばらく読まなくていいや。