モフモフになれたら

本と映画と仕事と考えたこと

『オイラーの贈り物 人類の至宝 e^iπ=-1を学ぶ』

すごい本です。 いや、すごいのは本なのか、数学者なのか・・・。 この本の目的は読者にオイラーの公式を導出させることです。

自然数、整数の定義から始まり、パスカルの三角形の美について触れます。 その後、中学校で習う方程式と関数、ここまでは何とか記憶に残っている破片をつなぎあわせれば・・・。

微分・・・うっ。 積分・・・・ぐはっ。

テイラー展開・・・・ぱた。 と何度もくじけそうになりましたが、何時間も本と睨めっこしていっこいっこ理解していくしかありません。基本は全て足し算引き算かけ算割り算なのですから。そこから一歩一歩この本は解説してくれているのです。ちゃんと階段を一歩一歩上がれば、急に登れなくなるなんてことないはずです。一番の峠はこのテイラー展開でした。テイラー展開とは関数を数列の和の形Σなんちゃらの形に直すこと、とだけ理解しておけば、何となく繋がります。

指数関数、三角関数・・・。 三角関数テイラー級数に展開するなんて言われた日には、ぶん殴りたくなりますが。しょうがありません。

けど、これは登山の様なものです。なぜ山に登るのか、そこに山があるから。 なぜ級数展開するのか、そこに三角関数があるから。

そして、ようやく頂上であるオイラーの公式へ。 ここまで理解できていれば、あとはそれらが奇跡的に結びつく様をごらんあれ。 めっちゃはしょって書くと

複素数を Z=r(cosθ+isinθ) と表記する。 ()内を級数展開するとeiθとなる。マジでなる。上の式に入れると eiθ=cosθ+isinθ これがオイラーの公式

特にθ=πの時 eiπ=-1 が成り立つ。 マジで。これがマジで。

なんだよeって。πとかめんどくせーよ。iって全然ピンとこねぇよ、と誰もが数学の時間に思った三大わけわかめ記号がここに集結し、−1という不可思議な数字を作り上げるのです。 ジャンプで言うと、Dio(e)と戸愚露(i)と妲己(π)が合体してピラフ(-1)になる様な感動です。 ffで言うとケフカ(e)とセフィロス(i)とアルティミシア(π)が合体して、ゴブリン(-1)になるくらいの感じでしょうか。良い例えが見つかりませんねw

出来ている証明を読みながらおっかけるだけで、もの凄いシンドイのに、これを考え出した数学者は天才だなとほとほと関心します。オイラーももちろんだけど、それまでの過程を築き上げてきた数学者全員に拍手を送りたい。

論理を築き上げた先にあるものが、美。この美に耽溺する数学者。ごちゃごちゃの式ではなく、美しく分かりやすい公式に価値があるとする数学の判断基準は、あまり数学的じゃない。理系も文系も、どちらも感情を論理の上位審級としている点は共通なのだ。