モフモフになれたら

本と映画と仕事と考えたこと

自然科学

資本主義の物理的限界が来た!『人新生の「資本論」』 斎藤幸平

先日、初めて地上波で「天気の子」が放送されて話題になりましたが、その中でもこの言葉が出ていました。「アントロポセン」、日本語では人新生(じんしんせい)と言われている地質時代の分類名です。人間の社会的・生物的活動が地球の地質の層として残り続…

AIバブルに溺れぬために『ビッグデータと人工知能 可能性と罠を見極める』 西垣通

最近のバズワード「人工知能」の可能性について冷静に分析された本です。ビッグデータと人工知能 - 可能性と罠を見極める (中公新書)作者: 西垣通出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2016/07/20メディア: 新書この商品を含むブログ (9件) を見る昨今では…

「読まなくてもいい本」の読書案内 ――知の最前線を5日間で探検する /橘玲

分野横断的に知の最前線を覗ける良本です。テーマは複雑系・進化論・ゲーム理論・功利主義等。知の歴史を辿りながらどんな議論がなされてきたか臨場感を持って体感できます。「読まなくてもいい本」と言われると、逆に読みたくなるのが人の性というもので、…

文系の壁/養老孟司

最近、何を読んでも面白くなくて途中で投げ出してばかりです。こういう時は内田先生の本を読むに限るのですが、最近活動を自粛されてか本もあまり刊行されないので、養老孟司さんの本を手に取ってみました。 活躍中の4人の理系出身者との対談集。 どの対談…

脳はどこまでコントロールできるか/中野信子

また中野信子。 脳の働き方を知っておけば、自分(と他人)の感情や行動をうまくコントロールできるかもしれない、というハウトゥ本です。文章は平易で、「〜だと思いませんか?」とか「〜なのでしょう」とか、あいまいな表現が多いです、この本は学術書では…

脳内麻薬/中野信子

新進気鋭の脳科学者・中野信子の新書です。人間の行動原理を脳内麻薬ドーパミンによってクリアカットに説明してくれる良書です。というか、価値観を揺さぶってくる毒本です。 この本で言いたいことはたった一つ。アルコール、タバコ、パチンコ、競馬、ゲーム…

『出来る男はウンコがデカい』/藤田紘一郎

外出時にはなかなか読みにくい本です。胃腸が弱い家系なので、父がくれました。 胃腸の調子が人間の健康にどれだけ大きい影響を及ぼし、ひいてはビジネスや人間関係や、性生活まで関わってくるかを説明した、けっこう学術的な新書です。それに、『出来る男は…

世界は分けてもわからない/福岡伸一

前作『生物と無生物のあいだ』は分野を超えたベストセラーになったのに、その後の本は全然売れていない福岡先生の本です。何でかと思って読んでみると納得でした。 生物学と芸術を結びつけるアクロバティックな論理は健在ですが、扱っている内容が、素人受け…

偽りの神に抗え!『炭水化物が人類を滅ぼす』/夏井睦

この本は強烈です。今までの世界観を大きく揺るがしてくれる良本。 炭水化物制限=糖質制限をすることで健康状態が良くなったという観測結果から、生物と栄養素の関係、人類史の中での炭水化物の役割まで大きな仮説を展開していきます。「〜なのだろう」とか…

意識とはなにか 茂木健一郎

茂木健一郎氏がTVに出始めた頃、何となく衝動買いしてしまった本です。7年くらい本棚に置いたままだったのですが、ようやく手に取りました。 あるものをあるものと感じる、その感じ方=クオリアに関する本です。が、題名の”意識とはなにか”という問いに答え…

数学はミステリーよりも奇なり『数学ガール』

なんだか数学ブームです。 かなり前にノリで買った本に挑戦できるのは、今しかないと思い手に取りましたが、これ、なめてかかると、めちゃくちゃ難しいです。 本の内容はもちろんほとんど数学ですが、数学だけではなく、魅惑的な女生徒二人とのゆるやかな恋…

『オイラーの贈り物 人類の至宝 e^iπ=-1を学ぶ』

すごい本です。 いや、すごいのは本なのか、数学者なのか・・・。 この本の目的は読者にオイラーの公式を導出させることです。 自然数、整数の定義から始まり、パスカルの三角形の美について触れます。 その後、中学校で習う方程式と関数、ここまでは何とか…

ゲーデルの哲学

ゲーデルの哲学 (講談社現代新書)/講談社 ¥777Amazon.co.jp 本棚を片付けようシリーズ2弾! 大学3年生くらいに買った気がするこの本。 僕の夢の一つに「不完全性定理を理解する」というのを掲げているので、その達成への第一歩です。 この本は不完全性定…

解決する脳の力

解決する脳の力 無理難題の解決原理と80の方法 (角川oneテーマ)/角川書店(角川グループパブリッシング) ¥760Amazon.co.jp これも献本です。 毎年、脳に関する論文を英語で発表されているのか、本の構成も非常に「英語的」です。 つまり、最初に結論が書いて…

もっとも美しい数学

もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫)/文藝春秋 ¥860Amazon.co.jp タイトルに魅かれて買ってしまった。 ゲーム理論の縦横無尽な活躍を文系にも分かるように解説した本。 この手の本は、数式を使わないせいか、内容がすごく冗長になりがちである。いろ…

その数学が戦略を決める

その数学が戦略を決める (文春文庫)/イアン エアーズ ¥770Amazon.co.jp 数学をどう世の中に活かすか、という本かと思って買ったら、騙された。 数学ではなく、統計学の話である。統計学は数学というよりも経済学の分野の様な気がする。 今までは、専門家が…

利己的な遺伝子

利己的な遺伝子 <増補新装版>/リチャード・ドーキンス ¥2,940Amazon.co.jp あらゆる分野でも参照される歴史的名著! 人文科学の世界でも、何度耳にしたことか。 めちゃくちゃ分厚いのに、タイにはまで持っていき、かなり嵩張ったけど、それでも読みたくな…

不可能、不確定、不完全

不可能、不確定、不完全―「できない」を証明する数学の力/ジェイムズ D.スタイン ¥2,730Amazon.co.jp ゲーデルの『不完全性定理』を理解するっていうのが、僕の人生の目標の一つだ。これを完全に理解したら、世界の見え方が全然違うだろうと思うから。 矛盾…